タレメtoツリメnoアイダ   mikiwame’s diary

『いま』をデザインする ほどよい田舎暮らしのタレ目とツリ目から見える間の世界を届けています。

『実録 脱・貧乏家族』第91話 父がいなくなった脱・貧乏家族 そして・・・

父の亡骸と僕らを乗せたリムジンは
雨の中を火葬場へと向かった



火葬場へは身内だけが行き
最後の父との別れを行う


葬儀場の担当者の案内で
すぐに火葬場の番号が書いてある
焼き場へと案内され、
すでに父の亡骸はそのドアを閉めるだけに
なっていた。

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火葬されれば二度と父とは会えない

これが本当の最期の別れになる

しかし、僕の中では
少し気持ちの整理がついてた。



みんなが父に最後の言葉をかけ終わると
静かに父の亡骸は焼き場の中へ入っていった


扉が閉まり、みんなで父に向って
手をあわせ、合掌をし、焼き場のスイッチが押された



これから父が灰になるまで2時間

僕らは別室にて食事をしながら
待つことになる。


父の妹弟と僕ら脱・貧乏家族だけで
過ごす最後の時間になるだろう


他愛もない話をしながら
長いようで短い時が流れた


そして、火葬が終わったのは
もう夕暮れ時になっていた


焼き場に通されると
葬儀場の担当者から説明があり
採骨をすることになった。


あんなにたくましかった父の体は
骨だけになり、僕らの知っている
父の姿はもうそこにはなかった


葬儀場の担当の人が
父の指の骨を見て
「お父様の指の骨はちゃんと残っている
から珍しい」と言われた


言われてみれば、手から指にかけての骨が
キレイに残っていた。


そこで母が
「お父さんはこの手で頑張ってきたんよ」
と、涙を流しながら父の骨を拾っていた


父が通ってきたこの70年
決して楽とは言えない中で
この手で僕らを守ってきてくれて
孫たちや僕らを可愛がってくれた


その証は肉体が消滅しても
ちゃんと残っている
そんな骨太な人生を歩んだ父からの
父親になった僕への
何らかのメッセージのようにも感じた


父がいなくなった
脱・貧乏家族


そして僕は決意する


貧乏を脱することを!



to be continued・・・


次回の
『実録 脱・貧乏家族』第92話
重き荷物を背負った脱・貧乏家族長男
この世の中から消えていく父
を、お送ります。